第2話 賢者と魔女

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  「気丈そうに振る舞ってるだけで、この女まだ27の女の子なんやなぁと」  30歳の男の人に「女の子」なんて言われたのは初めてだ。 「……わたし、女の子って年齢じゃないですよ」 「30代に言わせたら女の子や」  家門さんだってまだ30歳じゃないですか、ともう少し親しければ返せるのだけど。  関西の人特有なのかこの人独自のものなのか、さっきのスカーフといい妙に人慣れしたこの態度をどう受け止めたらいいのかわからない。 「本社の正善虎太郎のことは、俺もよう知ってる」 「……!」 「まあ、そう身構えんといて。あっちの人間が正善虎太郎をどう扱ってるのかは知ってる。あんたのことが知られたとき、周囲がどない思ったかも、だいたいな」 .
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