第2話 賢者と魔女

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   いったいどういう受け答えだったのか、若い酔っ払いは堤防の通路に出てきて、その場で大の字ポーズを取る。 「言うたやろ。ええ夜やでぇって。こう暗いと、淀川の水もよう見えん。だから歩いて行ける!」 「はい?」 「地面はどこまでも続いてるっちゅう話やがな」  ……だめだ。この人、完全に泥酔してる。  彼が淀川を臨んでいるすきにこの場を離れよう、と一歩後ずさった。 「な! おねえちゃん! おれと行こう!」 「!?」  急に振り返られて、動けなくなってしまった。  変な逃げかたをしたら追いかけられそうで怖いんだけど! 「いえ、わたしはこのまま帰るので……」 「なんや。あんたもおれのこといやがるんか。ああん?」  ──急に不機嫌にならないでください! .
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