265人が本棚に入れています
本棚に追加
いったいどういう受け答えだったのか、若い酔っ払いは堤防の通路に出てきて、その場で大の字ポーズを取る。
「言うたやろ。ええ夜やでぇって。こう暗いと、淀川の水もよう見えん。だから歩いて行ける!」
「はい?」
「地面はどこまでも続いてるっちゅう話やがな」
……だめだ。この人、完全に泥酔してる。
彼が淀川を臨んでいるすきにこの場を離れよう、と一歩後ずさった。
「な! おねえちゃん! おれと行こう!」
「!?」
急に振り返られて、動けなくなってしまった。
変な逃げかたをしたら追いかけられそうで怖いんだけど!
「いえ、わたしはこのまま帰るので……」
「なんや。あんたもおれのこといやがるんか。ああん?」
──急に不機嫌にならないでください!
.
最初のコメントを投稿しよう!