第2話 賢者と魔女

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  「ちゃんと金払ってんのに、酒飲んで気持ちよくなってきたら、マリンちゃん、帰れ言うねん。もう話できる状態やないとか言うて」 「その通りかと……」 「なんて?」 「なんでもないです」 「まあ、ええわ。この上あんたにまで拒否されたらおれ、そこに身投げする」  さっき歩けるって言ったじゃん! 「ほら、せやから行こ」  酔っ払いにしては機敏な動きで、手首を握られる。  悲鳴を上げようとして、息が詰まった。 「あれ、なにしてんの」  さっきとは違うスウェットの人が、わたしたちを見つけて足を止めた。 .
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