第2話 賢者と魔女

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  「あれ、おにいさん。コンバンハ」  酔っ払いはわたしの手をつかんだまま、声をかけてきた人を振り返る。  さっきの年配の人よりもぜんぜん若い。 「タケちゃんなんや、また酔ってんのか」 「……! 知り合いの方ですか?」 「おお、俺いつもここ走るから……って、あんたもこんなとこでなにしてんねや」 「え?」  知らない人に親しげに声をかけられて目をしばたたかせていると、スウェットの人はバサバサの前髪をかき上げ、額を出す。 「俺や」 「家門さん!?」  昼間見たときとぜんぜん印象が違って驚いてしまう。  がっしりとした体になじんだスウェット姿の家門さんは、ずいぶん若く見えた。 .
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