第2話 賢者と魔女

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  「てか、こんなとこ女がひとりで歩くなや。タケちゃんじゃなかったら事件やったかも知れんぞ」 「すみません」  言いながら、緊張の糸が切れたせいか、頭を傾けた瞬間はらはらと涙が出てきた。 「うわ。なんやねんあんた。やめーや」 「ご、ごめ、ごめん、なさ……」 「はあ……怖かったんやな。よーしよし」  まるで幼児に語りかけるような口調と声で、家門さんはわたしのほうにやってくる。  身長のわりに大きな手が伸びてきて──。 「……!」  なにか言う間もなく、わたしは家門さんの肩に顔を埋めさせられていた。 「泣き止んだら送っていったるわ」  耳元でぶっきらぼうに落とされた関西弁。  なじまないはずのその声が、やたらあたたかく感じてしまった。 .
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