第2話 賢者と魔女

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「昼間は悪かったな」  街灯が点在するだけの薄暗い住宅街を歩きながら、家門さんはぽつりと言い落とす。  ひりひりする目元を押さえながら顔を上げると、彼はこちらを見ていなかった。 「よう考えたら、あんた女ひとりで全然知らん土地に来たんやもんな。心細ーてしゃーないやろうに。意地悪な言いかたしたわ」 「いえ……」  家門さんが言っているのはたぶん、「社内の男に手を出すな」と言ったことなのだと思う。 「せやかて、こっちも毎日懸命に仕事してる身やから。すでに空気でき上がってるところにワケアリの女が新しく来たら、そら警戒してまうっちゅう話で。そういうの、わかって」 「……すみません」 .
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