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「昼間は悪かったな」
街灯が点在するだけの薄暗い住宅街を歩きながら、家門さんはぽつりと言い落とす。
ひりひりする目元を押さえながら顔を上げると、彼はこちらを見ていなかった。
「よう考えたら、あんた女ひとりで全然知らん土地に来たんやもんな。心細ーてしゃーないやろうに。意地悪な言いかたしたわ」
「いえ……」
家門さんが言っているのはたぶん、「社内の男に手を出すな」と言ったことなのだと思う。
「せやかて、こっちも毎日懸命に仕事してる身やから。すでに空気でき上がってるところにワケアリの女が新しく来たら、そら警戒してまうっちゅう話で。そういうの、わかって」
「……すみません」
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