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悔しかった。ただただ、悔しかった。
歯を食いしばり、前方に待ち受ける敵兵を睨み据えた。
なぜ会津がこんな仕打ちを受けなくてはならないのか。なぜ賊軍の汚名を着せられているのか。
砲弾に人が飛ばされる。
銃弾が頬をかすめて皮膚を割く。味方の兵たちが次々に倒れていく。
それでも足を止めなかった。
憎き相手へと刀を振るい続ける。
血を吸った刃が重くなり、腕に鈍い痛みが走り始めても。
敵を斬って斬って、斬りまくった。一人残らず殲滅する、そのつもりで。
これは仇でもあるのだ。愛しい人の死を聞き、佐川官兵衛指揮のもと、城外に突撃することを決めた。生き残ることは考えていない。死ぬ覚悟だった。
ふいに、脇腹に激痛が走る。
銃弾が貫いていったのだ。鮮血が噴き出すのが分かった。腕に、足に、立て続けに被弾する。それでも刀を手放すことなく、戦い続けた。
再び鉄砲の音が鳴り響き、気が付くと、地面が目の前にあった。
柄を握り直そうとしても、力が入らない。うつぶせに倒れたまま、体にも力が入らなかった。血が抜けていくとともに、意識が遠のいていく。死ぬのだと悟る。
しかし、あの世で彼女に顔向けできるだろうか。
また会おうという約束も果たせないまま。共に戦うことを誓い合ったのに、結局むざむざと彼女を死なせてしまった。
愛しい人の名を呼ぶ。答える声はない。
意識が闇に沈んでいく――。
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