11話 セフレはセフレ

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マンションのエントランス前でスーパーの袋を下げた奈緒子が立っていた。 「史也!お帰り。遅かったね!」 「………何度言えばわかるんだよ。本当に奈緒子とやり直す気はない。帰ってくれよ」 「んふふ、ね、すき焼きの材料買ってきたの!一緒に食べよ?」 「要らない」 「一緒にご飯くらいいいじゃない。これ、無駄になっちゃう!」 「家に持って帰って家族と食べろよ」 「もううちはご飯してるもん。ね、ご飯だけ!」 「あのさ、マジでウザい!いい加減にしてくれ!」 「………聡に聞いちゃった。彼女、出て行っちゃったんでしょ?なーんか聡は私のせいみたいに言ってたけど、結局出て行くって自分の意思じゃん。もう忘れなよ。どうせ女子高生だったからだけでしょ?」 「違う!…頼むからマジで帰ってくれ。俺はお前とやってくつもりない!これ以上付きまとうなら弁護士入れるからな!」 「………怒らないでよ。……必死なの。史也とやり直したいって……本気なだけなんだもん……」 「………今日だけだからな。……俺も言いたい事がある。上がって」 「うん!」 2人がエントランスを抜け、エレベーターを上がって行った。 史也が鍵を開けて、電気をつけた。 キッチンに行こうとする奈緒子を止めて、リビングのソファーに座らせた。 「史也、何?」 「今日の朝届いた。……お前がなんで今更戻ってきたいとか言い出したのか不思議だったからな」 と、大きめの封筒をテーブルに投げつけるように置いた。 「………何?」 「読んで見ろよ」 奈緒子が訝しげに封筒を取って、中の書類らしき物を出した。 『森本奈緒子に関する調査結果』 と、書いてあった。 めくると 『浦辺史也と別れてから現在に至るまでの経緯』 と、書かれてあった。 「………ちょっ………何よ!コレ?!」 「読めば?……多分嘘はないはずだから」
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