石板

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「こ、これは……」  私は目を疑った。予言書としてありきたりな内容だと思って読み進めていたのだが、その文章に書かれている内容が、この帝国の歴史と、成り立ちに酷似しているのだ。いや、似ているなんて言うものではない。書かれているのは、この国の歴史そのものだった。  私は興奮した。今、私は今までにない大発見をしたのかもしれない。この文章を刻んだ人は、ここまでの精度で未来を当てたというのか。  私は胸の高鳴りを押さえられない。まだまだこの石板に刻まれている文章は続いている。ならば、現在よりも先のことも書かれているはずだ。 「この石板は、真の意味での予言だというのか……」  思わずそんな言葉が口から零れる。私は一心不乱に記述を読み解いていった。  現在までの予言を読んで確信した。この石板の文書は、今までにない、完全な予言書だということ。そしてこの先に書かれている内容は、本来私たちが知ることのなかった、未来の記述だと言うことを。  私は息を飲む。そして、自分自身に問いかける。本当にこの石板を読み解いてよいのか。未来のことを、今の私たちが知ってよいのかを。     
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