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「……あれ?」
目が覚めると、私はいつの間にか自分の家のベッドの中にいた。
「え?何で?」
着ている服は思いっきり部屋着だし、どこをどう見たって、自分の部屋だった。
ついさっきまで、ぽんぽこ御殿でぽんぽこメンバーの皆とワイワイ飲んでた筈なのに。
ヴィヴィちゃんお手製のケーキ食べて、菜摘ママと恭子ちゃんのミュージカル【恭子と蘭丸】観て。
後からやってきた那智君や飯野さんとも色々話して。内容の8割は、飯野さんによる陣内さんの愚痴だったけど。
飯野さん、ほんとにツインテールだったなぁ……。
そんでもって、最後はカウンター奥で眠りこけている陣内さんを眺めつつ、菜摘ママと飲んでた筈だったんだけど。
「……ええぇ。まさかの、夢オチ?」
帰り道に、遭遇して追いかけたあの可愛い白猫ちゃんも。白猫ちゃんを追っかけているうちに迷いこんだ汚い路地裏も。そして、あのぽんぽこ御殿での一時も。
「……全部、夢だったって訳?」
夢にしては、かなりリアルすぎる夢でしょっ。
白猫ちゃんを追いかけて走った感覚も、エレベーターのボタンを触った感覚やドアの取っ手に触れた感覚。おしぼりの熱さやレモンサワーの酸っぱさ……どれも実際に体験したかのように、まざまざと感覚が残ってるっていうのに。
菜摘ママに恭子ちゃん、エレナちゃんにヴィヴィアンナちゃん。それに陣内さん。皆の顔もこの目でハッキリと見た。
「夢だったのかぁ……」
私は少し残念な気持ちになって、ベッドに腰かけた。スマホを見ると、日付は既に変わって私の誕生日の日になっていた。
っていうか、すっかり朝だ。
いやぁ……しっかし濃い夢だったなぁ……。
「誕生日、か……」
溜息をつきながら呟いた、正にその時だった。
「ニャーーン♪」
あの可愛い白猫ちゃんの鳴き声が後ろから聞こえてきて、私はえっと驚きながら振り返った。当然だけど、白猫ちゃんの姿はそこにはなかった。
「……気のせいか」
ーーだけど。
「……あれ?」
その代わり、金色の封筒のようなものが置かれていた。
「え……何これ。今さっきまで無かったよね?」
慌てて金色の封筒を取ると、私は中身を開けて見てみることにした。
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