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「可愛いーー!!」
愛くるしい瞳。キョトンと首をかしげたような仕草。
触ればフサフサモフモフそうなあの毛並み。
「さ、触りたああぁいっ!!」
猫の魔性の愛くるしさにすっかりロックオン状態の私は、目の前に鎮座している白いフサフサの猫に触れようとしゃがみこんだ。
でもいざ触れようとすると、ギリギリのところで猫は逃げ出し、私から1メートル程離れたところでまた鎮座した。
「え……ええぇ~?」
この、絶妙な距離の取り方というか。
頑張ったら、もしかして触れられるんじゃね?ってこの距離感。
猫大好きをリアでもエブでも公言しているお粥!!
これはもう、触るしかないっしょ!!
「猫ちゃ~ん。撫で撫でさせて~」
よしっ!あと数センチっ。
そう思って人差し指が正に触れようとしたその瞬間、またしても私は白猫から逃げられてしまった。
「あぁっ!!もうっ」
白猫はさっきと同じように、一瞬逃げたものの、また私から1メートルくらい離れた距離で行儀良い姿勢で鎮座した。
もしかして……お粥、おちょくられてる?
そんな考えが頭を掠めたものの、外灯の明かりに照らし出された白猫ちゃんの可愛さといったらっ。
ヤバい……なんでか分からないけど、触りたくてたまらない!!
いくら猫好きだといっても、普段はここまで外で見かけた猫になんて執着したりはしない。
自分でも何が何だか訳が分からないまま、その後も私は少しずつ猫のいる方へと進みながら、同じやり取りを何度も繰り返した。
自分が、いつの間にか入ったことのない路地裏深くに入り込んでいることにも気づかずに。
そうして、白猫ちゃんとの珍妙な駆け引きを繰り広げ続けた結果。
どのくらいの時間が経ったのか、分からないくらいどっぷりと追いかけることに没頭していた私は、白猫ちゃんの姿が完全に消え去ったところで我にかえった。
「あれ……ここ、どこ?」
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