HAPPY BIRTHDAY TO OKAYU!

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少し考えてから、私はオネェスナックぽんぽこ御殿に行ってみることにした。エレベーターに閉じ込められませんようにと祈りつつ。 エレベーターに乗ると、ルイスさんが書いていた通り、エレベーターの中は色々なチラシで溢れかえっていた。 金融関係、行きそうにないクラブイベントのチラシ。ルイスさんの小説の主人公陣内さんが見ているものと同じものを、今まさに見てるんだ。 私は状況が状況であるにも関わらず、それらを少し感動しながら見つめていた。 チンと音が鳴って扉が開いた。視線の先に映るごてごての派手な電飾で彩られた扉を見て、私は更に興奮した。 「ほ、ほんとに、ぽんぽこ御殿に来ちゃった」 エレベーターを出てすぐにあるぽんぽこ御殿の扉は、周りの染みったれた薄気味悪い壁とは真逆というか。 70年代?80年代?を彷彿させる感じの懐かしい明るさっていうのかな。とにかくそこだけがきらびやかな感じで、まるで竜宮城にでも迷い混んだ気分。 たてつけの悪い扉だったよなと思いながら扉の取っ手部分に触れた。確かに扉は本当にたてつけが悪くて、ズズズって変な音がした。 こんな所まで、やっぱり同じなんだ。つい笑みがこぼれてしまう。 「こ、こんばんは……って、眩しっ!!」 恐る恐るたてつけの悪い派手なドアを開けると、ドアよりも更に派手な店内の装飾に、私は目が眩み、そして度肝を抜かれた。 天井にひしめくように所狭しと吊られた昭和感満載なオモチャ。目が眩む沢山のミラーボール。ムード感満載なパープルの照明。 ……にも関わらず、曲は意外とゆったりしたジャズて。 口をあんぐり開けて突っ立って天井を眺めていると、中から呼びかけられた。 「お粥ちゃあぁん、何そこでバカみたいに口開けて突っ立ってんのよ。さっさと入ってきなさ~い」 こ、このオッサンオネェな嗄れた声は……。 目が眩む感じも、大分慣れてきたかも。 そう思いながら天井から徐々に視線を下ろすと、店内のカウンター内に……。 イタ━(゚∀゚)━!! ソッコーで腹筋崩壊するんじゃないかってくらいの面白ビジョンが、そこにはあった。 ルイスさんの小説内に登場する菜摘ママらしき人(どう考えてもその人)が、私を見て手招きしていた。 ほ、本当に……ヅラ被ってないし、メイクはベルバラ級だし。
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