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「不快ではありませんか?」
「はいっ!」
一度、唇が離され、耳に触れる距離で囁かれる。ルイスの声は澄んだテノールで、その瞬間プリシラの耳は火が着いたように熱くなった。
「そう。じゃあ、次に唇を重ねた時はあなたも舌を絡めるんですよ?」
「……んっ! くすぐったい、です……耳は嫌……」
「少しだけ我慢してください。きっと後で気持ちよくなりますから」
彼女がくすぐったいのをわかっているのに、ルイスはわざと耳元で囁き、そしてついに耳たぶを口に含み、転がすようにもてあそぶ。
「……っん! っ!!」
後で気持ちよくなるという意味は彼女にはわからなかったが、耳たぶや首筋に舌が這う未知の感覚に、声を押し殺して耐える。生理的な涙が伝うと、彼はその透明な雫をなめとるように頬にキスを降らせる。
もう一度唇が重なり、今度はすぐに舌が侵入してくる。
真面目なプリシラは夫の命令に従い、自らの舌をためらいがちに動かして夫のものに絡めた。
やはり、人間の口内はとても敏感につくられていたらしい。そしてキスをすると準備が整うという夫の言葉は本当なのだと彼女は感じた。
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