迦陵頻

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青い あおい こんな夜には そっと調べを奏でましょう 月の都の宮殿で 天女も舞っていることでしょう 今宵(こよい)の空は星まばら 天上の 清らかな光は満ち満ちて 金の波 銀の波 降りそそぐその中で 木犀(もくせい)の甘い香りを吸い込んで 思いの丈を放ったならば わたしの願いは叶うでしょうか 強い光に導かれるまま わたしの(もと)を去った君に 今 届けたい この思い 歌声にのせて…… 月の光に 迦陵頻(かりょうびん) 群青色の真ん中で ひらり 翼がはためいて かすかな歌声、 夜空に溶けてゆきました
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