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まだ医者になったばかりの青年がいた。
長い大学生活を終え試験にも合格し、ようやくこれから腕を磨くことが出来る。
そういう状況だったが、彼は周囲と同じように病院へは勤めなかった。
「人を助ける研究をする」
みんなの中では目立たない存在で、はっきりにしないような性格に見えたが、その目標は明確だった。
「何のために医者になったんだ」
「人を診ないなんて」
「怖気づいたんだろう」
周囲は好きなように言った。
道でたまに彼に会うと、おもしろがった。
「引きこもる研究でもしているのか」
「医者なのに1人も救ったことがないなんて」
「一日中何をやってるんだ」
それでも彼は部屋で研究を続けた。
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