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難しい病気を治す薬の研究を。
3年経ち、5年経ち、10年経った。
彼の同級生はそれなりに経験を積み、それなりの地位にいた。
「まだやっているのか。成果の上がらないことを」
「人の役に立つことをしろ。でも、もう患者を診ることも出来ないか」
「俺は何万人も治している。これが医者というもんだ」
相変わらずみんなは、彼に会うとこんな調子だった。
「まだ続けるよ」
決意は固かった。
石のように硬かった。
だが、それを聞いて周囲はさらに笑った。
おかしくなってしまったんだと。
もともと周りに溶け込むのが苦手で、独りぼっちでいることが多かったからなおさらそう思った。
時はさらに過ぎた。
そのうち彼に会う者はいなくなり、彼の存在時代も忘れ去られてしまった。
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