1人が本棚に入れています
本棚に追加
「茜ちゃん、帰ろ。」私の一番の親友が声をかけてくる。
「ん?裕は?」いつもは私とは帰らない。帰る時間が違うのもあるが、あやめはいつも帰りは裕とだ。
「うん、嶋田くん生徒会のことで呼ばれてて。」
この二人は第5中学裏生徒会の会長と副会長。表で裁けない厄介事を引き受ける裏の風紀委員。まぁ、風紀が乱れているから裏の生徒会なんだけどさ。
「待ってなくていいの?」
「月島さんは来るなって。」少し寂しそうなあやめ。
「大方タバコでも見つかったんじゃない。だからあやめを近づけないんだよ。」私は慰める。
「ありがとう。茜ちゃん。」にこりと笑ってお礼を言うあやめ。
うん。あやめは可愛い。女の私から見てもビックリするほどの美少女だ。そんなあやめに嫉妬してしまう。だって…。
「荻窪茜です。」小学五年生の時に私は三重に引っ越した。父の会社が倒産し、私は父の実家がある三重に逃がされたのだ。
緊張しながら挨拶をする。発音変じゃないかな?
皆にじっと見られて狼狽えてしまった私に声をかけてくれたのが学級委員の裕だった。
私の席を用意してくれて、案内してくれた。また、教科書がなかった私に見せてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!