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家に連れ帰り、お湯を沸かした。
生ぬるいくらいの温度のお湯に、タオルを浸す。
イチゴジャムで赤く染まった七緒の顔を、丁寧に拭いてやった。
ジャムの盗み食いがばれたせいか、七緒はおとなしく座っている。
頬や口の周り。顎まで。
柔らかく温かいタオルで拭われて、七緒は、とても気持ちよさそうだ。
顔が汚れたまま放っておくと、すぐにかぶれてしまう。白い顔が真っ赤に腫れて、とても痛々しい。
肌が、弱いのだ。
せっけんも、強いものはNGだ。
……まったくこいつらは、
溂はいつも思う。
……自分で自分のケアもできないのに、なぜ、手の代わりに、羽が生えているのだろう。
手より羽が有利な、生存上の理由が、フロレツァールにはあるのだろうか。
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