206人が本棚に入れています
本棚に追加
/229ページ
お前の白い鳥がっ!
**
今朝のことだ。
さわさわと、腰の辺りを撫でる感触で目が覚めた。
この頃、朝は結構寒い。
けど、ここは、暖かい。
軽くやんわり、覆ってくれる、真っ白な……。
……ん?
……んんん?
パジャマのズボンがずり下がっている。
……うわあ、ダメだ。
……お腹を出して寝てたら、風邪を引く、って、ばあちゃんが。
……でも、暖かいな。
……暖かいならいいか。このままで……。
まどろみの淵に、引きずり込まれる。
体が、重心から沈んでいくような心地よさ。
……?
何かが、腰の辺りを引っ掻いている。
何か、硬いもの。硬くて細くて、先端が尖った……、棒のような……。
でも、痛くはない。
そうーっと、そうーっと、引っ掻いているから。
溂に傷をつけないように。
溂に気づかれるのを恐れているみたいに。
ぱつん。
何かが縮んで、腰に当たった。
ゴムだ。
下着の、ゴム。
誰かが、溂の下着をひっぱっている。
このままでは、ずるりと脱げてしまう。
いくら暖かくたって、さすがにそれは……。
目が覚めた。
目の前が真っ白だ。
ふわふわしたものが、目や鼻を、柔らかく塞いでいる。
……七緒だな。
……今度は、どういういたずらを思いついたんだ?
最初のコメントを投稿しよう!