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はじめに見えたのは、まっしろな空間だ。
最初は天国かと思った。
天国がどういう場所なのか、僕は知らない。
けれど、黒よりは白だろう。
僕はそうイメージする。
しかし、それは束の間の事で、僕は現実に帰ってくる。
僕は仰向けで寝ているのだと、理解する。
身体に異常はない。
変化は無いようにみえた。
僕は起き上がる。
起き上がると、視界には相対的に、ベッドが並んでいる。
白いベッドが、綺麗に整えてある。
ベッドだけでなく、部屋全体がまっしろに見えた。
それだけこの部屋が、綺麗に使われているのだとわかる。
綺麗に使われている理由も、すぐに理解できた。
ここは病室だ。
病室であれば、綺麗なのも当然の事だ。
むしろ、そうでなければ苦情がくるかもしれない。
そして僕は、すべてを理解したとき、深くため息をついた。
──僕は過ちを犯した。
僕がここにいるとしても、それを認識してはいけなかった。
この光景を、見たくなかった。
息をしたくなかった。
静かな音さえ聴きたくなかった。
失敗してはいけなかった。
もう一度行うのは、とてもつらいから。
ほんとうなら僕は……
──僕は、死んでいるはずだった。
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