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「どうしてくれるんだよ!これから入学式だっつーのに!」
すごい面相で叫びだしたイケメン、眉間にしわを寄せていかにも怒っていますという顔で迫ってくる。充分怒ってるけれど、歯を抜かれても顔を歪めなさそうなイケメンがこんなにも表情豊かなのが面白いからもっと怒ってみて欲しい、とは天と地がひっくり返っても言えないだろう。
「えっ?!あなたも1年生?私もなの、よろしくねー!ところで学校ってこっちで合ってる?」
同じ学校で同じ学年だという事に嬉しくなりペラペラと喋る、心の片隅では迷子になっていたのでついて行く相手が見つかって安心している。
「違う、方向音痴か。今お前が来た方向だ」
頭をガシガシと乱暴にかくがすぐに元のストレートに戻る。喉から手が出るほどその髪質が欲しい。毎日風呂上がりにドライヤーをしっかりやって寝てるのにもかかわらず寝癖はつくし朝もそれを直すのに数分はかかる。
「・・・あーもうくそ、今日は入学式諦めるか・・・」
私の顔を見てため息をつく。最悪だと言わんばかりの蔑む目を私に向けてくる。確かに私も悪かったけどぶつかったのはおあいこだと思う。
「なんで?!まだ間に合うよ?」
どんなに寝坊したとはいえ入学式自体はまだ間に合う時間だ、2人で走ればギリギリ間に合うはず。
「ちっげーよ!この格好で学校に行けるわけないだろうが!しかもお前だって大惨事だぞ!」
汚れたワイシャツを主張するように見せびらかしてくる、本当にごめんなさい。クリーニグ代をちゃんとお払いしますので許してください。
私のスカートを指差してくる。
「・・・え?」
恐る恐る制服を見ると彼に当たって跳ね返った食パンがスカートに落ちたらしくジャムが付いている。
「!?あぁぁぁぁぁ!新しいスカートがぁぁ!」
お母さん、どうして今日に限ってパンにジャムをつけるのよ。
ここで私の意識は吹っ飛んだ。
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