第14話

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第14話

「才蔵」 ある日の昼下がり、屋根の上で昼寝をしていた才蔵の元へ半蔵が現れる。 「何」 才蔵はすぐに体を起こし、不機嫌そうな顔をする。 「里からの命だ。抜け忍の菖蒲を探して殺せ、と。」 「なんで俺が抜け忍を始末しなきゃいけない?抜け忍の始末は本来藤林の仕事だろ。百地の俺の仕事じゃない。」 「相手が菖蒲だからだろ……」 「流石長の娘。特別扱いだね。」 「それだけじゃない。あいつは伊賀のくのいちの中でもずば抜けて強かった。そんな奴相手に並の伊賀忍が敵うわけないだろ。」 「だからって俺とお前の2人を向けるなんて伊賀も随分菖蒲が目障りなのかね…」 才蔵はため息をついた。 「そりゃ長の娘となれば色んな情報を持っててもおかしくない。…………にしても…」 「なんで今なのか…でしょ」 半蔵の言葉を才蔵が先に言った。 「あぁ。菖蒲が任務に失敗し、死んだと報告を受けたのは確か2年前。それが何故今になって生きてるとわかったのか……」 「誰かの意図を感じるって?」 「そりゃそうだろ。あの菖蒲ともなれば死んだように見せかけて生き延びたのにわざわざ里に生きてる、なんて知らせねぇよ。必ず誰かが菖蒲を陥れようとしたんだろ。」 「今更殺す必要があるのか………」 「だが里の命は絶対。………そうだろう?」 「あぁ、面倒くさいけど。」 才蔵はそう言って立ち上がった。 「どうした?」 人のこない暗い森の中。昼でも陽の光が当たらず、辺りは薄暗い。 そんな所にいる2つの人影。 片方が口を開いた。 「なんでもない。……でも……もうすぐだなぁって。」 「もうすぐ始まるって?」 「………………もうすぐ……」 口元に楽しそうな笑みを浮かべていた。 「えぇ、もうすぐ…………」
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