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「………………そうですか…」
「じゃあ菖蒲は……?」
「夢幻…」
「え?」
その言葉に宵は違和感を覚えた。
「………菖蒲が……夢幻?………そんなはずは……」
「え?」
「………………」
宵はどこか納得出来ないような顔をしていた。
「宵」
その夜、幸村が宵の部屋を訪れた。
「調子はどうだ?」
幸村は宵の近くであぐらをかく。
「かなりいいと思います。」
「本当に目覚めてよかった。10日も意識が無かったんだぞ?」
「え、………10日も?」
「あぁ、みんな心配していたが、特に才蔵なんて食事もろくに取っていなくてな…」
「そんな……才蔵様が…?」
「あぁ、でもお前が目覚めてホッとしたみたいだな。」
幸村はニカッと笑う。
「傷は痛むか?」
「はい、でも今まで痛みを感じれなかったので新鮮です。」
宵は嬉しそう、ともとれる表情をしていた。
「宵、助かった。礼を言う。」
幸村はそう言って頭を下げた。
「え…ゆ……幸村様…頭をおあげ下さい!私は咄嗟に……」
「それでもお前が庇ってくれなければ俺は今生きていたか分からない。第一、俺が倒れれば上田城内だけでなくこの辺り一帯にも混乱を招く。それをお前のおかけで防げた。本当に感謝する。」
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