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「幸村様………私は貴方にとって……あまり良い存在ではないようです。」
「……………」
「私は記憶を無くしていて…それを不憫に思ってくださった幸村様がこの城の女中にと仰ってくださいましたが、私はここで迷惑ばかりかけている気がします。」
「そんなことはない。宵は要領が良いし、協調性もある。所作も洗練されているし身のこなしも華麗だ。俺は初めてお前を見た時、普通と違うと思った。」
「え?」
「何かが起こると俺の直感が言っていた。だから急だったがお前を城へ招いた。何かあった時俺がすぐに対処できるように。」
「……そう……でしたか………」
宵は納得したように頷き、決意した瞳で言った。
「私は向き合わなければなりません。……何故忘れてしまったのか分からないけど…向き合う為には…知る為には…私は全てを思い出さなければならない。……そう思うんです。」
「宵…………」
幸村は優しく宵の頭を撫でた。
「お前は強くて優しいな……どんなお前であろうと俺達はお前を受け入れる。」
「…っ!………ありがとう……ございます」
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