第1章 1 やる気が行方不明

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「おれのことがムカつくって?」 「ち、違います! 堀田先生のことじゃありません!」 「じゃあ、誰だ?」 「え?」  授業は中断。魁斗に集中する視線の数々。  面白いものが見られそうだと期待する目に、魁斗は裏切り者と言いたい気分になった。  ちらりと諒を見れば完全に寝ている。  だからと言って、 『諒にムカついてました』  などと言って、万が一にも諒の耳に入ったら殺されるかもしれない。  そう、魁斗は思っていた。 「……すみません」  素直に謝ると同時にチャイムが鳴る。 「よーし! 森崎、放課後残れよ」 「え?」 「文句あんのか?」 「……ありま、せん……」  こうして授業が終わる。最悪の気分を浄化させようと親友、和泉諒を睨みつける。  ――――僕は悪くない。  元はと言えば贔屓されている諒と、それを許す教師たちのせいだと、罪の矛先を変えて安心する。  ――――断じて僕のせいじゃない。  魁斗の高校生活は、とても憂鬱なことばかりであった。
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