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抑えられない感情が次から次へと湧き出てきて、言葉がうまく紡げない。それでもカイトは喋り続けた。
恐怖から逃げているだけかもしれない。聞いてくれる心を通わせた龍がいるからかもしれない。
「僕は新種が生まれることに賛成した! きっといい世界になると神様を信じて。神様だから、明るい世界になるって思って。こんな混乱なんか……」
レイラはそっとカイトを翼で包んだ。
「あなたはおかしくないわ、カイト。今度はわたしが守るから」
「レイラ?」
優しい声にカイトはレイラの瞳を食い入るように見つめていた。
「何が完璧よ。アイツは何もわかっていない。成長するものに完璧などない。自身が未熟なのによく言う」
「……そうかもね」
「カイト、神を殺して。神が許せないのはカイトだけじゃない。きっと仲間が集うはずだから」
包み込んでくる翼がとても冷たい。それでも暖かく感じたのは気のせいか。カイトは居心地の良さに目を伏せた。
「わたしはカイトを守るために、再び現れるわ」
「じゃあ、僕は神を殺すために」
「次に出会った時に」
レイラはくすっと笑った。カイトもつられて笑う。
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