プロローグ

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「で? この男、誰?」  誰よりも冷酷で容赦のない、その少年の声に嫌な汗が滲みでる。  男の背後から来た。  白いポロシャツが、赤く染まった髪を際立たせている。金髪と同じくらいの年頃の少年だ。 「さあな。記憶を持ってんのは確かだ」 「さっさと殺っちまおうぜ?」  赤髪が危険な微笑みを向けた時だった。 「待ちなさい」  また一人。  今度は両脇にある塀の上からの声。男がどこだと見上げる前に、降りてきたのは女性。  有名な女子高校の制服を着た女。黒髪はアップにしていた。色気があり、大人っぽい。 「止めるつもりか?」  彼女もまた冷たい目をしている。  ニコッと赤髪に笑いかけてから、 「違うわ」  と答えた。
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