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「居場所。あの人はどこ?」
冷たい目が男を貫く。
恐怖で目を見開いていた。助けを呼ぶ声も出なくなり、口をぱくぱくさせるしかない。
やっと出た掠れた声は風に飲み込まれる。
「……知らな、い」
その言葉に女は眉をピクリと動かした。
「嘘はいけないわ」
「嘘なんか!」
金髪はため息をついた。その手に氷のナイフを出現させた。
「どこから切る? 口を割るまで続けるぞ」
金髪のナイフが男の顔に近づいた。
「なにをされても言わねえよ!」
「……そうか」
躊躇いなどなかった。氷のナイフは男の腕を切りつける。
「なにをされてもっ! 俺は!!」
言葉の途中、男は叫び声をあげる。
赤髪は拾い上げた銃で男の足を撃っていた。
「さて、楽しませてもらおうか? どこまで耐えられるかな?」
薄暗い路地。
五十メートルも走れば大通り。人の住む場所はすぐ近くなのに、助けなど来ない。
防音の空間にいるかのような、逃げ場のない恐怖。
「やめろ……やめてくれっ!!」
男の悲鳴が空に響き渡った。
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