第1章 1 やる気が行方不明

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 高校に入学して数週間。  魁斗はあっという間にクラスに馴染んでいた。  明るく誰とでも話す性格が彼を人気者にしたのだ。確かに地味系男子ではあるが、性格は好かれている。  ただ彼も地味な部分を努力しなかったわけではない。  今時のお洒落な男子になってみようと、金髪にしてみたり、カラーコンタクトを入れてみたり、流行りの服を着てみたこともあった。  校則のこともあるので、もちろんプライベートでだ。  しかし、全て似合わず彼は諦めた。原因は身長。高校一年生の男子が、一五五センチしかない。  それだけではなく、髪質も魁斗を悩ませた。  ダークブラウンの髪はくせ毛が酷い。直そうとしても直らない。無造作ヘアにも届かない、ただのくせ毛だ。 「和泉」  いつの間にか授業は再開されていた。  堀田の問いに、涼しい顔をして完璧に答えているのは魁斗の親友、和泉(いずみ)(りょう)。  彼と同じ高校一年生とは思えないほどの身長の高さ。一八〇センチメートルを越えている。  そんな諒の声に酔いしれる女子を見ていると、切なくなる魁斗だ。
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