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高校に入学して数週間。
魁斗はあっという間にクラスに馴染んでいた。
明るく誰とでも話す性格が彼を人気者にしたのだ。確かに地味系男子ではあるが、性格は好かれている。
ただ彼も地味な部分を努力しなかったわけではない。
今時のお洒落な男子になってみようと、金髪にしてみたり、カラーコンタクトを入れてみたり、流行りの服を着てみたこともあった。
校則のこともあるので、もちろんプライベートでだ。
しかし、全て似合わず彼は諦めた。原因は身長。高校一年生の男子が、一五五センチしかない。
それだけではなく、髪質も魁斗を悩ませた。
ダークブラウンの髪はくせ毛が酷い。直そうとしても直らない。無造作ヘアにも届かない、ただのくせ毛だ。
「和泉」
いつの間にか授業は再開されていた。
堀田の問いに、涼しい顔をして完璧に答えているのは魁斗の親友、和泉諒。
彼と同じ高校一年生とは思えないほどの身長の高さ。一八〇センチメートルを越えている。
そんな諒の声に酔いしれる女子を見ていると、切なくなる魁斗だ。
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