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目の前にはアイスコーヒー。すでに水滴がコースターに流れ落ちていた。
苦手なコーヒーを前に、魁斗は喫茶店に入ってからのことを思い出す。
『アイスコーヒーでいいか?』
と聞かれて、威圧感がすごい二人を前にしたら言えずに首を縦に振るしかなかった。
「どうした?」
「いえ……」
言えないまま、魁斗は目の前に座る二人に視線を向ける。
一人は高橋と言って以前に魁斗がいろいろとお世話になったベテラン刑事。神経質そうに周囲を観察するオールバック。
もう一人は瀬戸と言って高橋と一緒に行動を共にする相棒の茶髪刑事。彼は一緒にいるだけで特に喋らない。
話は全て高橋に任せているし、まだ刑事として日の浅い瀬戸が口を出すことは許されない。
二人ともスーツをビシッと着こなした本物の刑事だ。
「まあ、コーヒーを飲みながら聞いてくれ」
作られた笑顔の高橋。嫌な予感ばかりがふくらみ、誤魔化すように苦手なコーヒーを一口飲む。
苦すぎて吐きそうになった。
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