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「君は、大らかで優しくて、まるでチーズケーキみたいです。僕ら、お互いに100年の耐用期限で減価償却を計上できるようにしましょう。つまり、ずっと一緒にいるってことです」
ものすごいセリフだなあと思いつつ、嬉しかった。
「・・・・・・は、はい」
結城さんを見つめる私の鼓動は早くなるばかりだった。それも、そのはずだ。
私たちは明日、結婚するのだから。
名探偵との結婚なんて、これから波瀾万丈の人生を約束されたようなものじゃないかしら?
「恵利菜さん、時間は大丈夫ですか?」
「あ、教会に寄って、ウエディングドレスのお色直しの最終確認をしなきゃ!」
「うっかりしてました! 僕も一緒に行きますね!」
「はいいいい!」
「教会で式を挙げて、本当に良いんですか? あなたは隠れ仏教徒なのに・・・・・・」
その言い草に、私は思わず吹き出してしまった。
「いえ。高校時代のクリスチャンの友達も何人も呼ぶし、教会での挙式に憧れてたからいいんです!」
「それならいいんですが・・・・・・」
「ありがとう。気にかけて下さって」
私は微笑みながら答え、正面に座る結城さんを見つめた。
結城さんは相好を崩し、顔を伏せた。
「・・・・・・少し照れますね」
神様、仏様。誰でもいい。この運命に感謝しています。
私はこれから、ずっと一緒に、この甘すぎる探偵と生きていくのだ・・・・・・。
終
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