キジトラ 初秋

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 空が白んで来たから、朝食にしよう。 人の気配がなくなった道を闊歩する。  ん?何だ。 この私の足を止めさせる奴が居た。 人の縄張りを大手を振って歩く、見知らぬ同種がいる。 茶トラの毛。長い尻尾をピンと立て得意満面だ。 短い鍵尻尾であるこの私への当て付けか! 少し、距離を取って後ろを歩く。 勘違いするな。怖いんじゃない。 この私ほどの気高いものは不要な争いなどは極力、避けるんだ。 幸い、気づかれていない。 注視していると、あろうことか、喫茶店の前で止まった。 「にゃあ」なんて甘えた声を出す。 プライドはないのか!  まだ朝も早いのに、開店準備のため、中に娘が居た。 慌てて、外に出てきた娘は初めて会う、茶トラに少し驚いたようだ。 だけど、そいつが足にすりより甘えるもんだから、喜色満面だ。 奥から、カリカリとした食べ物を持ってくると、そいつに与えた。
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