Episode3『楽園-ベッド・イン-』

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* * * 「ええっ!? そんなに!?」  キングサイズのベッドのへッドボードに背を預け、冷たいシャンパンを喉に流し込んだ。すっきりしたついでに部屋の料金の話をしたら、とんでもない答えが返ってきて、持っていたグラスを落としそうになった。  このホテルは日本でも有数の高級ホテル。さらにここは一〇〇平米以上の広さを持つ最高級のスイートルームなので、ある程度の覚悟はしていたけれど。それにしても想像の上をいく桁外れな金額だった。 「だから一泊じゃなくて、月単位で借りたんだって」 「わかってるよ。ひと月分だとしてもすごい金額だって」 「そうか? そんなもんだろう。取りあえず、向こう半年分で話をつけた」 「相場がどうのこうのじゃなくて……。毎月それだけの支払いができるなんて、どれだけ稼いでるの? ほんと信じられない。ていうかもったいない」 「別にいいだろう。仕事場としても使うんだから。それに掃除だってやってくれるし、セキュリティもセットだ。それらの人件費と設備を金で買ったと思えば、少しは納得できるだろう?」 「まったく、できない!」
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