Episode3『楽園-ベッド・イン-』

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 リクは最近になって、このスイートルームを借りた。そして、ここに住みながら仕事もしている。  自分のことではないのに、すごく心配になる。リクのことだから、もちろん費用についてはちゃんと計算しているのだろうけれど。  リクは大学卒業後すぐに会社を興し、早四年。今の地位を築いた。  事業内容はよく知らない。たまに手伝ってくれる仕事のパートナーはいるらしいけれど、会ったこともないし、どんな人なのかすら知らなくて謎だらけ。あまりずけずけと踏み込むのも悪いと思い、仕事のことを尋ねたことはほとんどなかった。  リクから聞かされているのはM&Aやサイト売買。あとほかにもあるらしいけど……。 「葉月はなにも心配することないって」  シャンパンからミネラルウオーターに切り替えたリクが、ペットボトルに口をつける。あれだけ動いたから喉が渇いていたらしい。勢いよく半分ほど飲んだ。 「必要経費でどれだけ落ちるんだろう?」
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