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ハイスペックのPCが整然と並べられた仕事部屋は、部屋全体が綿密に計算されて、足りないものはもちろん、無駄なものもひとつもない。
おそらく自然光の入り込む角度や空調設備の位置もリクの頭になかにはしっかりと入っている。部屋の空気の流れも読んでいると思わせるレイアウトだった。
全体的な印象は、無機質で少しだけ冷たい。グレーや白、黒といった色ばかりのせいか、ぬくもりは一切感じられなかった。
でもリクらしい。仕事をしているリクはそんな感じだから。
仕事のときは恐ろしい鬼となる。ほんの少しの気の緩みで莫大な損失を被る可能性もあるのだから、それは当然のことだ。
「そうだ。ここの合鍵を渡しておくよ」
ベッドの下に脱ぎ捨てたスラックスのポケットをあさり、出てきたのはゴールドのシリンダーキー。手渡されたキーには同じゴールドの丸いキーホルダーもついていた。
いまどきカードキーが主流なのに珍しいなと思った。
「あれ? このキーホルダー、キラキラ光ってるよ」
「それ、ダイヤモンド」
「うわぁ、すごい豪華だね」
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