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ティアラをモチーフにしたデザインは、このホテルのロゴである。それがキーホルダーに刻印されていた。そのティアラに散りばめられたキラキラがダイヤモンドらしい。
「別にダイヤなんていらないのにな。たかがキーホルダーなのに」
やけにあっさりと言う。
そりゃあ、仕事に没頭しているリクは、宝石なんてものには興味がないのかもしれないけれど。ダイヤモンドだよ。女の子の憧れのジュエリーなんだから。
「なくすなよ。その合鍵はそこらの店で簡単につくれるものじゃないんだからな」
「最新式なの?」
「複製はまずできない」
「そんなふうに言われるとプレッシャーなんだけど」
生まれて初めて預けてもらう合鍵がスイートルームのものというのも、なかなか珍しい。
ずしりと重みのあるそれは、見れば見るほど高級で、ダイヤモンドの輝きに気おくれしてしまう。
「俺が迎えに行けないときもあると思うから。そのときは葉月が直接ここに来たほうが早いと思うし、俺がいないときも好きに使えよ」
「仕事でも使ってるのに? リクだけならいいけど、お客さんが来ているときにわたしがいたらじゃまでしょう?」
「どっちにしても、応接室の出入口は別にしてあるから」
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