Episode3『楽園-ベッド・イン-』

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「仕事っていえば、最近毎日のように考えるんだ。わたしは何歳まで今の会社で働いているのかなって」 「今そんなことを考えたってしょうがないだろう」 「そうなんだけど。仕事って、わたしのなかのほとんどを占めるものなんだよね。なのにそれがうまくいっていなくて。この先の自分の人生にも自信が持てないの」 「会社で嫌なことでもあったのか? いびられてるとか?」 「ううん、そうじゃないの。わたしはいてもいなくてもいいような存在に思えて。誰でも務まるような仕事しかしていない。きっとこの先も同じだと思う」  さほど重要じゃない雑用も多い。わたしには、むしろそういう仕事ばかりまわってくる。  最初は総務だから仕方ないと思うようにしていた。だけどわたしだけ扱いが雑というか、持て余されているような気がするのだ。  というのは……。  同期の女の子はみんなそれなりにステップアップしていて、大きなプロジェクトに携わったり、重要な仕事を与えられたりしている。  わたしはとくになにも変わり映えしない毎日だ。  この差はいったいなんなのだろう。  リク以外、誰もわたしを必要としてくれない。  やっぱり、わたしじゃだめなのかな。
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