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「そんな心配いらないって。わたしが秘書になれるわけないから。もちろん、なりたくもないけどね。ていうか、いつの時代の話? いまどきそんな人、あんまりいないと思うよ」
すると、「そりゃあ、よかった」と、タケが唇を重ねてきた。わたしは目をつぶり、深くなっていくのを従順に受け入れた。
すっかり冷えた身体。さっきまでの汗だくの時間が懐かしい。
秋が深まったこの季節、ここから望める夜景は少しだけクリアだった。
もうすぐ冬がやって来る。それから春が来て夏が来て、また秋が来る。そのときもまだわたしはリクの隣にいるのだろうか。
ゆっくりと身体が倒された。
ほろ酔いのまま、これからのことを最後まで覚えている自信はあまりない。
でもそれでもいい。
目が覚めたとき、リクが隣にいてくれるのなら、それだけで安心できる。
甘えるようにキスをせがむ。肌を寄せ合いながら、互いの体温の高まりを知る。それからは、昂るのみ。
楽園を見つけたわたしたちは、欲情に身を焦がし、淫らに喘いで、本能を見せ合って……。そして不思議な絆で結ばれるのだ。
Episode3
『楽園-ベッド・イン-』
2018.1.27〈完〉
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