Episode3『楽園-ベッド・イン-』

27/27
前へ
/64ページ
次へ
「そんな心配いらないって。わたしが秘書になれるわけないから。もちろん、なりたくもないけどね。ていうか、いつの時代の話? いまどきそんな人、あんまりいないと思うよ」  すると、「そりゃあ、よかった」と、タケが唇を重ねてきた。わたしは目をつぶり、深くなっていくのを従順に受け入れた。  すっかり冷えた身体。さっきまでの汗だくの時間が懐かしい。  秋が深まったこの季節、ここから望める夜景は少しだけクリアだった。  もうすぐ冬がやって来る。それから春が来て夏が来て、また秋が来る。そのときもまだわたしはリクの隣にいるのだろうか。  ゆっくりと身体が倒された。  ほろ酔いのまま、これからのことを最後まで覚えている自信はあまりない。  でもそれでもいい。  目が覚めたとき、リクが隣にいてくれるのなら、それだけで安心できる。  甘えるようにキスをせがむ。肌を寄せ合いながら、互いの体温の高まりを知る。それからは、昂るのみ。  楽園を見つけたわたしたちは、欲情に身を焦がし、淫らに喘いで、本能を見せ合って……。そして不思議な絆で結ばれるのだ。 Episode3 『楽園-ベッド・イン-』 2018.1.27〈完〉
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1143人が本棚に入れています
本棚に追加