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朝になると、いつも新しい一日が用意されている。息をしていれば、必ず。それが鬱陶しくて仕方なかった。
「まだ悩んでるんですか、うちの近くにするんじゃなかったんですか」
巡回から帰ってくるなり友利が言う。俺は住宅地図を見つめたまま、「でもさぁ、事務所に通うのにちょっと遠いんだよなぁ」と応える。
地に足をつけて、普通の生活をしようと考えはじめていた。事務所に寝泊まりするのではなく、きちんと部屋を借りて一人暮らしをするのだ。
「今からそんなこと言っているようならすぐに元の木阿弥だな」
デスクで日誌をつけていた志野が呆れたように言う。断言されると癪ではあるがその通りになりそうで怖い。
「不吉なこと言うなよォ」
「沼津さん…俺も引越しするんで事務所の近くに部屋を借りて一緒に暮らしますか?」
「え!」
「それなら帰って来れますよね」
「そりゃそうだろうけどいきなりそんなこと言われてもさすがに俺にも心の準備ってもんがだな…」
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