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脱衣所はがらんとしていて、さすがに平日の昼日中から銭湯に来る人間はいないらしい。
「大した身体してないくせに」
「うるせぇ」
「あっ、そうだ!今夜さ、麻雀のメンツが足りないのよ、来るでしょ?」
「今日は誰の代わりだよ、俺だってなぁ予定の一つや二つ」
「ヒデちゃん来れなくなったって。いいじゃない、どうせ暇してるんだから」
「最後まで聞けよ暇じゃねえよ仕事してるし!…まあ、息抜きも必要だからぁ、どうしてもって言うなら行ってやってもいいけど」
「そうこなくちゃ」
元太がパチンと指を鳴らす。
辛うじて見目麗しくはあるがアルコールの飲み過ぎでしゃがれた声はいただけない。
…まったく、人生何があるかわからないよな。
無邪気なサッカー少年はいつの間にか女装趣味を拗らせているし、ひ弱なガリ勉は体育会系の警察官になり、平凡極まりなかった俺が私立探偵という得体の知れない仕事をしている。
鶴間元太郎、志野司、それから俺、沼津清文は同じ中学校の同級生だった。
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