初花染めの色深く

「はあ、ご迷惑をおかけしたようで申し訳ございません」

「まったくですよ、」という相手は鶴乃湯に行く前に電話をかけてきた男のようだ。

「よく商売が成り立ちますね。ホームページはあるようだけど更新しいてる様子もないし」

「はは、なんとかなるもんです。それで？相談する気になりました？」

「…無料なんですよね？」

「はい」

「実は」と話はじめようとするのを、「ちょっと待ってください、」と止める。

「ご相談は直接伺います。お受けする場合はそのまま契約もできますし、一度来ていただけますか？場所わかります？あ、ホームページご覧になられたならわかりますよね」

「忙しいんです、出向いている時間なんて」

「それでは相談は受けれないですね」

男は舌打ちをしてぶつぶつと文句を言いながらも納得したようで、「外回りのついでだ、寄らせてもらいますよ」と言った。

「ありがとうございます」

「一時間後には着けると思う」