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コーヒー豆をゴリゴリとハンドルをまわしながら挽くのは、嫌なことをすり潰しているようで気分がいい。
沸いたお湯をサーバーやマグカップに注ぎ温め、ドリッパーに重ねたペーパーフィルターへ挽いたコーヒー粉を入れる。
サーバーのお湯を捨て上にドリッパーを置き、ゆっくりお湯を注いでいく。
出来上がった二人分のコーヒーをサーバーからマグカップへ注ぎ、俺はそれらを手に持って事務所に戻った。
「ミルクは?」
難しい顔をしたままの男に差し出す。
「いらない」
男は受け取ったカップに口をつけずテーブルへ置いた。
「さて、どうしますか?」
「…お願いするとして、いくらになる」
「お電話で話したとおり、着手金はお気持ちにお任せします。うちは調査時間一時間につき二万円です。料金は調査報告の際に現金で支払ってください。それとは別に成功報酬として十五万円いただきます」
「いいだろう。ただし、妹には絶対ばれないように」
「知らせないんですか」
「余計な心配はさせたくないからな」
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