初花染めの色深く

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あと数分で日付が変わる。翌日の朝にかけ直そうかとも思ったが、寝たら電話のあったことなど忘れていそうでそのままリダイヤルをした。 「かけ直してやったぞ」 『遅ぇな。なにしてたんだよ』 「仕事だよ!」 『あ、そう。ちょっとさ、こっちも一件頼みたいんだけど』 「そりゃ毎度どうも」 この一件が結局のところ事件になってしまうわけだが、それはまた後で。 志野とは腐れ縁で、今では交番じゃ対応できないような案件を俺に斡旋してくれている。もちろん、内密で。 『なあ、今から来いよ』 「話は終わったんじゃねえの?」 『仕事の話はな。プライペートな方』 「疲れてるから嫌だ。つーか、お前どこいんの?嫁のいる家に来いって言ってんのか?」 『馬鹿だな、家に呼ぶか。今日は当直なんだ』 「勤務中になに言ってんだよ。馬鹿はお前だろ」 とかなんとか言いつつのこのこ交番へ顔を出したのが運の尽き。
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