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「っと、悪りぃ」
「いえ」
軽蔑している相手でも、咄嗟に手を差し伸べる真面目さ、正義感。どう育てばその性根の良さが手に入るのか不思議でしかない。
仕事で出会う人間はろくでもない奴ばかりだし、志野なんて上っ面だけの優等生なのに。
「コーヒー飲みたいな。マドカのモーニングにしようか?」
マドカというのは交番の近くにある昔ながらの喫茶店だ。志野は俺にではなく友利に話しかけていた。
「どこでも平気です」
…こいつも来んのか。
二人から数歩遅れてついて歩く。制服を脱いでも、背筋が伸び堂々とした歩き方から職業がうかがい知れる。
開店したばかりのマドカの店内にはまだ誰もいなかった。隅のソファ席へ着き、ミックスサンドのモーニングを三つ頼む。
煙草に火をつけ一服した志野が、「それで?」と話を向けた。
俺は正面に座る二人を交互に見る。
「…友利もいるけど?」
「ああ、聞きたいんだと。もともと友利の知り合いだしな」
「そうなんだ?」
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