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俺はおかしい。
変態だ。
真面目な顔して数学の証明問題を解きながら
あの日の自分の密かな行為を思い出し、改めてそう思う。
次の朝、何も知らず目覚めた瑞季の顔がまともに見れなくて
それから後も、瑞季の顔を見ると変な感情がムラムラと湧き上がってきて
止められる自信がなくて。
高校入学と同時にバイトを始めて
なるべく瑞季と顔を合わせないようにしていた。
今度瑞季と向き合ったら俺は何を言い出すかわからないと思ったから
自分の、瑞季への間違った感情が消滅するまでは会わない。
あの日から俺は密かにそう決めてたんだ。
なのに今、こんなにも近くに瑞季がいる。
平静を保つんだ、正樹。
そしてこの際だ、あの日の俺のこいつへの感情は一時の気の迷いだと自分に実証すればいい。
隣にある横顔を、気づかれないようにチラ見しつつ俺は密かに自分にそんなミッションを与えた。
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