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「これで解けたと思うけど。解ったか?」
真剣に、俺がノートに書く答えを見ていた瑞季の肩を叩いて尋ねると、
顔を上げ可愛い笑顔で「うん」とうなずく瑞季。
その笑顔にまた俺の鼓動は反応する。
乙女かっつーの。
「他にわかんねーとこはないのか?」
ドキドキに気付かれないように、必要以上にぶっきらぼうに尋ねた俺に
一瞬、瑞季の顔が曇ったように見えた気がした。
だけどすぐにそれはいつもの笑顔に戻る。
『もうないよ。ずっと解けなかった問題が解けてすっきりした。
やっぱり正樹はスゴイね。ありがとう』
「まあな。他の教科はどうやってもお前に勝てなかったけど
数学だけは負けたことなかったもんな。
これからも解らない問題があったらいつでも聞きに来いや。ふはははは」
あ。
いつでも来られたら困るのは俺じゃん。
調子に乗って行ってしまった言葉を後悔したけど
それから暫く取り留めのない会話を交わしている間に
待てよ、
変に会わないようにしてたから、余計に意識しちゃってたんじゃね?
だってホラ、今の俺って普通に瑞季と向き合えてるじゃん。
と思い始める自分がいた。
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