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『高校、別々になっちゃったし、これからはあんまり会えなくなると思うし。
だから今日はいっぱい正樹と一緒にいたかったから』
小さい頃から変わらない、無邪気な言葉と笑顔に何故か俺はドキリとして
急に落ち着かない気分になった。
なんだよこの胸のドキドキは。
いつも一緒にいた、幼馴染のいつもと変わらないはずの言葉に対する
自分の反応の意味がわからず戸惑い焦った。
「な、な、なんだよそれ。お前は乙女かっ。
てか、家隣なんだし、学校別々でも今までみたくいつでも来ればいいじゃん。
じゃっ、俺、先に風呂入ってくるからっ」
じっと見つめてくる瑞季の目を見ていると
なんだか自分がトンデモナイことをしてしまいそうな予感がして
俺は急いでクローゼットから着替えを引っ張り出して部屋を出ようとした。
つん。
着ていたシャツの裾を不意に掴まれて、足を止め振り返る。
『今までありがとう』
振り返った先、俺の後ろに立つ瑞季が改まってそう言った。
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