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「なんだよ改まって」
『高校受かったら、ちゃんと言いたかったんだ。
正樹には、幼稚園の頃からずっと助けて貰ってばっかりだったから。
これからは、僕のこと気にせずに正樹がやりたいことやって、高校生活楽しんでね』
「……まさか、お前」
ひとつの疑念がわく。
俺から離れる為に、わざと別の高校を選んだのか?
だけどそれを瑞季は尋ねさせてはくれなかった。
『僕もいっぱい友達作って、勉強も頑張って
正樹を頼らなくても大丈夫だって証明してみせるから』
何の不安もないと見せたいんだろう
にっこりと微笑む瑞季の笑顔が胸に痛くて
思わずその細い身体を抱きしめたい衝動に駆られた。
だけど同性の幼馴染にそんな事できるはずもなく。
「わかった。じゃあ、俺、風呂ってくるわ」
強い衝動を抑えるように、俺はぶっきらぼうにそう返して
早々に部屋を出て後ろ手にドアを閉めた。
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