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――ぱくっ
――カリッ、カリッ
「…………」
う……だ、駄目だ。どうしよう。
いっちゃんの綺麗なカオが、だんだん近づいてきたよ。
黒縁眼鏡の奥に見える、深い黒灰色の瞳。
色めいたソレが、なぜか甘い揺らめきを見せ、まばたきもせずにチカを見つめてきてる。
「……っ」
うあぁ、何コレ!
何、この居たたまれないほどの色気だだ漏れな視線!
とんでもなく、息苦しい!
とてもじゃないけど、目なんて開けてられないよ。
無理、無理っ!
――パキッ!
……え?
「ああぁっ! いっちゃんってば!
なんで折っちゃうのぉっ?
チカ、まだ食べてる途中なのにぃっ」
『パキッ』という音に目を開ければ、予想通りムスッとしたカオでプリッツ部分を食べているいっちゃんが目に入った。
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